目も舌も心も喜べる食事になった
私とココナッツの思い出といえば2003年にさかのぼる。その頃私はオーストラリア先住民アボリジニが儀式や治療で用いる管楽器「イタギ(伝統的なディジュリドゥ)」の演奏活動にて日本各地や海外を訪れていた。
その演奏活動の上である民族楽器バンドに出会い、そこでココナッツの殻を使って作られたカリンバという楽器に出会った。そのカリンバはキラキラと天を舞う天使のような音を紡ぎ出すので、カリンバ奏者でカリンバ製作者の方とすぐに仲良くなった。
ココナッツといえばその方を連想していた私でしたが、3年前に漢方仲間の医師からMTCオイルの話を聞いた。そのオイルを使うとダイエットはもちろんだけど、癌がすぐに良くなるというお話しだった
。それからケトン食を使ったダイエットや癌の食事療法を漢方と同時進行で学んできた。
そして、昨年の初旬に私のパートナーが癌になってしまった。それもステージ4b。癌研にて医師より告知された時は自分の目と耳を疑った。そして、次の瞬間ケトン食に真剣に取り組むことを決心した。
今まで私が漢方とケトン食に関わってきたのは、このためだったのかもとも思えた。
ココナッツから作られたMCTオイルを使った食事法、ケトン食に行う漢方薬など新旧のいろいろな知恵をお借りし、最初の抗がん剤投与に挑んだ。最初の抗がん剤投与まで1ヶ月ほど、厳格にケトン食療法を行ったおかげで、癌研の先生方もびっくりするような結果が2回目の抗がん剤治療後の検査で出た。脳膜播種がほとんど消えていたのだ。また、科学療法に伴う吐き気はケトン食とミネラルと漢方薬をきちっと使えるとそれほどひどく出ないことも分かった。
パートナーの治療に並走する身として私自身もケトン食を一緒にとるようになった。ここで気がついたのは肌がカサカサして痒みがしょっちゅうあり、寝ている間に頭をかきむしって血だらけになっていたのが、MCTオイルを摂取するようになってから痒みが落ち着いてきて、出血がなくなり、肌もすべすべになってきたのだ。小さい頃からアトピー気味で首や肘と膝の裏が血だらけになっていて、大学生の頃には一旦治ったものの、この10年ほど頭部がひどくなっていたのが、MCTオイルとスキンケアだけで治ってしまった。
昨年の途中から、MCTオイルだけではなく無臭のココナッツオイルも導入していた。料理に使うオイルをすべてココナッツオイルに変えたことで余計に肌の調子が良くなったように思う。
それはココナッツの勉強会にて、MCTオイルだけでなくココナッツオイルを使った色鮮やかな美味しい料理を実際に学んで食べられたことが大きい。
今まではストイックにMCTオイルで鳥の胸肉ばかりの簡単だけど単調な喜びのない栄養補給だったのが、目も舌も心も喜べる食事になったのだ。
今後は私たちの経験を多くのケトン食を必要としている国内外の方々に広めて行ければと思っている。
これからは薬局なのに薬を売らず、あちこちで油ばかり売るようになりそうだ。
練馬区
寺本 仁